「地域手当」の問題をおそらくご存知の方はほとんどいないだろう。実は、この地域手当を過分にもらっている自治体職員がいるために、国(総務省)からの交付金カットという制裁が科されてしまい、小さな自治体の予算が縮小→結果的に住民サービス低下につながりかねない、という"知られざる"重大な問題になっているのだ。

小さな町の問題といっても、実は国の制度の重大な欠陥でもあるので都市部の皆様にも知っていただければ幸いだ。本日の葉山町議会で下記の問題を提起するのに合わせ投稿する。

【差別、目的、限定、補完、地域手当の違法性】
地域手当とは、全国に配属される国家公務員が同一賃金である事を踏まえ、物価等の高い勤務地域での生活費と物価等の低い勤務地域での生活費では、生活費による経済的な圧迫度の違いを考慮して、地域の民間賃金水準に合わせる事で勤務地域による格差を是正することを目的とした手当と理解をする。

【地域手当の指定基準】
地域手当は"地域手当の指定基準"によって各地域(自治体)に支給率が定めら れている。全国自治体の支給率算定が"地域手当の指定基準"であるなら、超過支給 団体に対する総務省による制裁措置は平等の観点から望ましいものと言える。

しかし、この指定基準には図のようなふたつの支給基準が存在している。

自治体は(1)(2)どちらか一方の基準対象となるが、その選別の理由から徐々に地域手当の目的も基準もデタラメなのだと分かる事になる。

【不可解な支給基準】
地域の賃金指数を地域手当の支給基準に照らし合わせ、7段階の級地区分と支給率を定めるのが(1)であるが、この(1)は人口5万人以上の市を対象としており、人口5万人未満の自治体は(2)の対象とされる。

民間賃金水準との格差是正を目的とした基準に"人口"という要素が加わることが不可解であるが、(2)には賃金指数の存在が消えて"通勤者率"という、賃金 との関係を理解できない要素が更に加わっている。

【目的要素の消える基準差別】
人口5万人未満の自治体は(2)の支給基準により「都道府県庁所在地」「人口30万人以上市」への通勤者率により支給率が決定する事になるが、結果の級地区分は(1)の1~7級地ではなく、最低位の6・7級地に限定されている。

これをどう理解するのか、地域手当の指定基準には何ら説明も注釈も記載がなく、この扱いに差別を感じるのが一般的な感覚であることも事実であろう。

【地域手当の違法性】
支給基準の不可解な点についても同調査から確認したが何ら納得の出来るものではない。全ての自治体を賃金指数による(1)の対象としない理由は、人口5万人未満の自治体には賃金指数の算出がないことを理由としている。この理由から通勤者率を用いた(2)に関しては、基準結果の級地区分を2段階に限定し指定基準の補完と位置づけることで、法的な合理性を保つとしている。

つまり、法律上「民間賃金水準を基礎」とする目的の支給基準において、民間賃金とは無関係な(2)の支給基準にある違法性を回避する為、「地域の一体性を考慮した支給地域の補正」とする目的、限定と補完の位置付けが必要であったと考える。

【特別交付税減額 制裁の根拠】
自治体側に賃金指数の算出に過失があれば、制裁措置のような差別的な扱いも止むを得ないが、全ては国の考えで行っているものであり、制度と運用を強要するのであれば法に従い公平公正な基準設計をする責任を負うのは当然のことである。

人口5万人未満の自治体は、この差別的な支給基準と違法性を見過ごし特別交付税を減額する制裁を容認するのだろうか。

【地方公務員 地域手当の必要性】
国家公務員とは違い自治体範囲に物価差のない地方公務員に、地域手当の必要性と支給理由があるのだろうか。

その根拠とされるのが「地方公務員法第24条第3項、職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない」という"均衡の原則"と国交準拠の考え方である。

【本稿の結論 当該自治体の地域手当】
上述の"均衡の原則"と国交準拠の考え方はかつての運用と考え方で あり、現行の均衡の原則の運用では地方公務員の給与制度は国家公務員の制度を基本として、給与水準については地域民間給与をより重視することが求められている。

つまり、地域手当は地方公務員の給与制度にも支給が許されるが、その水準は地域民間給与が原則なのである。

当該自治体の超過支給という、国の定めた支給率を超えて自治体独自の支給率を運用するのであれば、その算出には地域民間給与水準という根拠が無ければならない。
上述の「地域手当の違法性」にあるように、制度の目的と法律から逸脱したものは違法と考えるのが妥当である。

【即刻廃止又は0%にReset】
本稿の結論として、当該自治体の地域手当は支給率算出の違法性を鑑みて「即刻廃止又は0%」に一度 "Reset"すべきと考える。

当該自治体が再び地域手当を運用妥当とするならば、当然、その根拠と妥当な支給率を示し議案提出することが、法律を遵守し制度に準じた納税者の理解が得られる唯一の方法と考える。

【国と地方の対等な協力、地方議員への期待と責任】
上述の"問題"のような事案については、その職能から地方議会の議員に問題発見と実態に即した提案を期待をする。

国の制度であってもその瑕疵を指摘・主張すべきであり、国と地方が議論をすることで上下・主従の関係から対等・協力へと地方分権の趣旨が現実に推進されることで、国の政治力を高めると共に政治家主導の礎を築くことが、この国の未来が必要とする大切な一歩だと信じている。