児童虐待による “子どもの死亡” 年間69人に
父親は十分な食事を与えずに、栄養失調で衰弱する齋藤理玖ちゃん(5)をアパートに放置。白骨化した遺体の発見は死亡から8年が経過していた。この衝撃的な児童虐待の死亡事件は父親に殺人罪、懲役19年の判決が下されたが、齋藤理玖ちゃんと同じ時代に生きながら、手を差し伸べられず、子どもをとり巻く環境が悪化を続けることには臍を噛む思いだ。 

児童虐待を生んだ社会が改善なく「放置された状態」で、そこに在るままです。
これまでの虐待について終わった・解決したと言えますか。 
子ども達が身をおく、暗く危険な社会問題のドアは未だ開かれず密室のまま放置をされているのです。 

幼い命は、なぜ救えないのか  
本稿をまとめる間にも乳児5遺体発見事件”の判決、“3歳児への暴力による虐待死”が報道された。相次ぐ児童虐待の死亡に対して、国は「児童虐待への徹底した対応」を自治体に通知するも、児童虐待死亡事例は年間50~60件前後で推移。2014年度では虐待死した子どもは69人に上り、減少する気配は一向に見られない。 

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これだけ毎日のように児童虐待の死亡事件を目の当たりにすると、もう児童相談所の問題と考えることが無責任であると思えてきた。  平成26年度の児相への相談件数は42万件を超えており、私の想像をはるかに超える数字でした。 

「障害相談」が183,506 (43.7%)、「養護相談」が145,370件 (4.6%)、「育成相談」が50,839件 (12.1%) となっている。  興味深いのは身の回りでは見聞きする事のない、この日本で養護相談が14万5千件程もあることだ。 この事についてはまたの機会に調べたい。 
さて、同年の虐待相談件数が8万8千件程もあるのだが、児相の職員はどれほどの職員数と職務内容で、この相談件数に取組むのだろうか。
 

過去最多の相談件数! しかし、冷静な児相
平成26年度の虐待相談件数は約8万8,900件。これは、過去最多の相談件数であり、 前年比で約1万5,000件も増加した事になる。その発表に児相が冷静な理由。
それは、統計開始から毎年最多件数を更新する、増加の一途なのだ。 

この相談件数の54.3%が「実母が加害者のケース」です。 子どもの年齢は小学校入学前が42.5%を占めています。 同年度の虐待により死亡した子どもは69人に上り、身体的虐待やネグレクトによる虐待で36人が死亡しています。 
わが子に手を掛けてしまう心理、精神、経済、家庭、DVなど、その要因となり得る状況を考えると、一方的に責めたてる気にはなれません。社会を改善することで救える親子が居る事を信じたい。 

27年度の児相の職員数であるが、やはり少ないと思わざるを得ないが、 それぞれの職員に専門性があり役割も異なるだろう。所長までを含めた全ての職員数10,738人での対応の可否は自治体との分担次第なので、ここで図る事は出来ない。 

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児相に望まれる役割と機能
児童相談所運営指針にある基本的機能は、◆市町村援助機能、◆相談機能、◆一時保護機能、◆措置機能です。市町村援助機能とは、各自治体も児童相談の窓口を設けている為、判断が困難な場合に助言や同行をしています。 

児童相談は児相と自治体が担い概ね3つの段階を経て援助を行います。 
第1段階では「相談の受付」を身近な行政機関が窓口となり、援助に必要な情報収集を行います。 
第2段階では、個別に「調査、検討」を行い支援対象に援助方針が決定されます。 
第3段階で、ようやく援助方針に基づいて児童、保護者などへの援助実施となります。  かなり簡略化しましたが、こうした経過により相談から援助に至るのが一般的な業務の流れです。
また、深刻な虐待の場合、自治体(市町村)での対応・援助が困難な場合は、送致がなされるので、児童相談所で扱うことになるのです。 

児相はとっくに限界を超えている
他機関への斡旋や家庭裁判所、福祉事務所への送致もありますが、保護者の義務放棄による親権喪失宣告、未成年後見人選任と解任、民法上の権限としてこれら家庭裁判所への請求、また保護者の親権剥奪行使など、調査と合わせて様々な診断に基づく方針決定など。 

さらに言えば、援助の実施が解決・終了ではありません。その後の援助内容、措置や指導方法による方針の見直しなど、本質的な問題解決まで継続的な援助を行っています。 

また、これは文字で簡潔に示した文章であって、現場では対象の児童や保護者に寄り添い、心を通わせ、ようやく相談が始まるケースが珍しくありません。 解決に至るまで数年に及ぶことも稀ではなく、児童相談所に望まれる役割と備えた機能は、結果として「虐待かも?」という事案に、細心の注意を払い、適切な処置をする為に必要な時間と判断力を損ない、悲惨な事件を招きかねない要因のひとつになっている考えられます。 

虐待相談件数80倍超 ネグレクトする社会
「児童相談所における虐待に関する相談処理件数」は、統計を取り始めた1990年度(平成2年)には1,101件であったものが、80倍以上もの88,931件に膨れ上がっています。
 
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では、一方の児童相談所はどうか。2004(平成16)年の児童福祉法改正により市町村に児童相談の窓口が設けられ、その後「児童相談所設置基準の緩和」「児童相談所設置市の制度化」により、中核市に児童相談所の設置が可能となり、横須賀市、金沢市、熊本市が設置されている。
 

国による放置 幼い命、救う気なし
上の資料が示すように児相は設置されているが、虐待の内容や相談件数の増加を考えると疑問は残る。これまでの制度の改正や設置の仕組みを見ても、国はこの問題を積極的に改善する意思があるとは思えない。では、今後児相が増える見込はあるのだろうか。 

児童相談所の設置は、合わせて「一時保護所」の設置も必要になる。また、権限移譲がなされ社会福祉法人が施設を設置する場合も、制度上「補助金」が必要となる。自治体には相当の財政負担が求められるのだ。そして「児童自立支援施設」設置も義務づけられ「直営」する負担を伴う事になる。 児相設置はこの財政負担もあり現行の制度下では、増えることは考えにくい。

皆さんも、感じているでしょう。世の中は決して公平ではありません。
簡単に言えば「少数よりも、多数」「小さな声よりも、大きい声」これがまかり通るのが社会の現実です。年金?介護保険? 勿論、大切でしょう。一方で予算を使えば、もう一方では予算が削られる。この単純なバランスを度外視して大きい声で要求する人達に、しっかりと向き合って議論を尽くせなければ、小さな声、幼い命を救い上げることは出来ません。 

この国は子ども達を放置する。社会によるネグレクトは暗く危険な社会問題のドアを硬く閉めようとします。「児童虐待の防止等に関する法律」が超党派による議員立法で成立、施行された。これが意味するところ、興味のある方は調べてみてください。

生まれながらにして、不公平な世界なのです。 
だからこそ、私は政治によって「社会が平等である事」を求める必要がある。 
そう思っています。 
子どものことを考える「児童福祉政策」次回は前向きな考えをまとめます。 


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